「裁判官の爆笑お言葉集」を読む

先日、近所の書店である新書に目が入った。

その名も「裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書 な 3-1)」。
元々裁判官というなぞの多い人達のプライベートに興味があり、更に人生の半分は笑いに価値を置いている私にとっては非常に気になる本。
率直な感想としては、本当に笑える発言は3,4つしかなく、殆どは殺人事件での異例発言が占めている。
その笑える発言と、思わず目頭が熱くなった発言を幾つか紹介する。

「犬のうんこですら肥料になるのに、君たちは何の役にも立たない産業廃棄物以下じゃないか。」

思わずニヤついた。
これは2003年の夏に起きた暴走族の少年らによる集団リンチ殺人事件の少年審判での発言。
当時かなりのニュースになったので知っている人もいるだろう。
少年審判ということもあり、この発言は批判も集中した。
個人的に言えば、この発言は充分な妥当性があるがやはり立場上まずいのだろう。

「言葉は悪いが、単なるロリコン、単なるスケベおやじだったのではないか。日本の司法の歴史の中で、とんでもないことをしたというのは分かってますな。」

これはズルい。
裁判官が真顔でロリコンと言えば面白いに決まっている。
これは現役の裁判官が児童売春・児童ポルノ処罰法違反の罪に問われた被告人質問にて。

「電車の中では、女性と離れて立つのがマナーです。」

これはとある会社員男性が、中央線で痴漢をしたと逮捕され、長い審議の末無罪になった事件で、判決を言い渡した後の発言。
映画「それでもボクはやってない」のモデルになった事件なので、全国的に有名だろう。
確かに離れて立つのがマナーかもしれない、疑われたら男性が弱い立場にまわるのが世の常なので、私の場合は必ず片手に鞄、片手につり革で身の潔白ぶりをアピールしている。
身近な話題なだけに、我々男性陣も嫌でも関心を持たずには入られない。

先の「それでもボクはやってない」だが、本当に痴漢したかどうかは、映画は検証材料ではなくあくまで興行の産物だから、ストーリーは容疑者が被害者になったという結果から構成されているし、それに沿った印象操作をしているので、見入ってしまうと推定無罪の原則が守られてないようにどうしても見えてしまう。
だが、真相は結局当事者にしか解らない。
日本は検察に訴えられたら1000回に1度くらいしか無罪にならないので、この事を検察官が優秀だからなのか、裁判所が検察を信用しきっているからなのか人によって意見は別れる。
私は有罪確定率99.9%という数字は、通常イコール100%として考えられるものなので後者ではないかと思ってしまう。

ここまでがちょっとウケた発言。
最後に心温まるものを。

「二人してどこを探しても見つからなかった青い鳥を身近に探すべく、じっくり腰をすえて真剣に気長に話し合うよう、離婚の請求を棄却する次第である。」

ドキっとしてキュンときた。
これは結婚生活30年の熟年夫婦が対立した離婚裁判で、離婚請求を棄却した理由での発言。

裁判官はその特殊な立場で得た経験からか、こんなファンタジーな発言も法廷でするのである。
青い鳥とは、主人公チルチル・ミチルが幸せの青い鳥を探しに行くが見つからず、結局はチルチルとミチルの最も身近なところにありましたというお話。
私の青い鳥も身近にいたらいいのに。

裁判官というと、個人的な意見は通常言わないものである。
傍聴文を読んでみても、「裁判所としては、~」と主語を私ではなく、代名詞を用いて独特の言い回しにしている様に、個人の見解ではなく「司法が君ではなく君が犯した罪を裁いてますよ」という意識を持たせている。
だが、裁判官もやはり人間なので、「うんこ以下」や「ロリコン」もついつい出てしまうようだ。

他にもタクシー運転手を差別した問題発言や、介護疲れで母親を殺害した事件の裁判に言い放った、思わず同情してしまい悲しくて目頭が熱くなる発言もあるので、興味がある人は是非一読をお勧めする。

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