考える力を重要視する企業-面白法人カヤック

現在企業文化のユニークさでとりわけ注目を浴びている会社、株式会社カヤック
気になる点3つ。

1.サイコロ給制度

カヤックと聞くとまっさきに連想するサイコロ給。
カヤックが注目を浴びた背景として、会社独自の給与体系がある。
その名の通り給料の一部がサイコロを振って出た目で支払われるというもの。
一見すると人の頑張りをギャンブル性で判断するなんて不謹慎な会社だと思いがちだが、そのコンセプトが分ると納得。

ウェブサイトより一部引用

サイコロで給料が決められるなんて不謹慎?
いや、 +αだから減るわけではない。あくまでおまけ部分。
でも、人間が人間を評価する仕組みなんてそのくらいで丁度いいと思いません?

自分の客観的評価は見つめなければならないが、一喜一憂しないこと。
資本主義のモノサシで測れない価値もあるのだから。
そんな思いで、カヤック創業時から取り入れているのがサイコロ給。
もともと似た価値観の友人3人で始めても、
そのうち時間にのみこまれ、お金に対する価値観が変わることもあるでしょう。
そんなとき、毎月サイコロふって初心に返ろうじゃないか。という思いもこめられている。
それに結局のところ、最後の最後は、運命を天に託すしかないじゃないですか。

「人間が人間を評価する仕組みなんて、それくらいでちょうど良い」。確かにそうだ。
どれだけ市場動向をリサーチをして、難しい理論や統計分析を適用し、「絶対ヒットする」と太鼓判を押されたプロダクトが、必ずしも予測値通りの動きをするとは限らない。
それと同じ様に、人事をする1人の人間がその人の会社への貢献具合を数値で評価する事も、不確かさが含まれる可能性は多いにある。資本主義社会をも超えて人間が営む「社会」というのは、不確かなものを確率的な判断でしか体系化する事は出来ない。
給与に付くおまけはその時の運に任せてみよう。人生の成功に運の有無は無視できない。おそらくこういうことだろう。

2.スタッフの情報公開レベル

スタッフの顔写真、名前はおろか、実績や細かなプロフィール、お勧め書籍紹介コーナーなど、スタッフ紹介コーナーの公開レベルが他の会社の比ではない。各プロフィールの下に、某サイトをパロディした様な「この社員を見ている人は、この社員も見ています。」機能まで付いている。それに加え、全社員の名刺ギャラリーがあり、漫画調の名刺についている吹き出しにアテレコするコーナーまであるのだ。

転職活動・就職活動をするものにとってその会社のウワベだけでは無い実態把握は、応募に至る要因として何より重要な情報である。知識創造力が企業の価値を決める社会へと移り変わりワークスタイルが多様化しつつある中、企業間の付き合い方も「A社がスゴイ」では無く、「A社の○○さんがスゴイ」と、組織対組織から個対個へ、プライベートでなくともパーソナルな関係へとシフトしつつある。WEB3.0の概念そのものである。
となるとと自分が働く職場環境と云うものは、個への成長を助ける場として仕事内容より報酬より重要であると思うのだが、カヤックはその個を重要視している事が明確に読取れる。

3.他人を巻き込むリクルート

カヤック社の採用情報は、インターン、新卒、中途の三種類。
それとは別に、他社紹介変人採用なるものがある。
他社紹介は、カヤック社に興味のある学生にアプローチをしたい企業を掲載している。これは実に面白い。
ここに掲載している企業はカヤック社の姿勢に同調し、カヤック社の様なワークプレイスで働きたいと考える人を採用したいという事。
学生側も検索して出てきた結果がたまたまカヤック社だけで、他に見つからない場合は「楽しさを大事にする会社リスト」が容易に得ることができる。
カヤック社としてはネット広告の新たなモデルとして、そして志望者を無理に囲い込まない姿勢が好印象となり、ブランド価値を高める事にも貢献している。即ちwin-win-winな関係なのだ。

オフィスを見てみよう。
色使いと、使用什器で設計は即クライン・ダイサムだとわかった。
あの有名な博報堂のボーリング場をリノベーションしたプロジェクトも設計はクライン・ダイサムだが、彼らが手がけるとオフィスは限りなく創造力を刺激する装置へと変貌する。
数十年前の所謂梅田望夫が表現する「日本株式会社」的な人がこれを見たらどう思うだろうか。
私より十数年上の世代がこういった事例を多く作り、そして私の世代が経営層となる時には軍部をモデルとしたシマ型オフィスが無くなる時代が来るかもしれない。
それはオフィスという内部空間だけでは無く、今疑いなく着るフォーマルな服装「スーツ」や、考えなくとも何気なく言葉を発する「お世話になります」「申し訳ございませんが、・・・」etc、知識創造社会へシフトした時、本質的にビジネスに必要なものと不要なものとで峻別され、書店に並ぶ「これでわかるビジネスマナー」的な本に、今現在は社会で無礼な行為として認められているものが、いつか守るべきマナーとして載っているかもわからない。

カヤック社の様な企業がたくさん出現すれば、今は「ユニークな」「一風変わった」といったカヤック社を連想するキーワードが普通のものとなり、本来の業務以外の上記のような要素が、経営戦略の重要なセクションとしてどこもかしこも本格的に検討されるだろう。
そうなれば、それを囲うワークプレイスはどんどん進化して、巨大で多様性に富んだ市場となるだろうと期待する。

最後に、私が企業サイトで必ず最初に見るページ。「経営理念」。
何故かというと、20歳の頃に興味本位で読んだジャック・ウェルチ著のウィニング 勝利の経営に経営理念と行動規範の違いと、経営理念がつまらない(具体性がない)会社はダメと書いてあり、実際に「顧客満足の向上」や「社員と社会全体が満足できるような・・・」などなど、そのような誰もが納得し得るマクロな理念よりも、より絞り込んだ独自性のある考え方を読み取りたい私は、最初にまず必ず読む場所なのだ。
カヤック社の経営理念ページの隣に、他社の経営理念なるページがある。このページを掲載する目的については窺い知ることは出来ないが、カヤック社の経営理念と比較は出来る。

カヤック社の経営理念はシンプル「つくる人を増やす。」
行動規範
も勿論充実。

経営理念説明文のここを私も普段見落としかねないと思った。

ビジネスの世界では、ときとして目的と手段の混同が起きる。
たとえば、「利益」。
利益は、目的を達成するための手段であり、目的を達成した後の結果にすぎない。
社会に貢献するために利益を得る必要があり、
社会に貢献した結果の対価として、利益が得られる。

利益は決して、目的では決してない。

それ自体がクリエイティブでは無く、人々の金銭的欲求のみで生み出されたビジネスを私は好まない。
例えば排出量取引。よくもまあ思い付いたと関心はするものの、知的創造を喚起する価値を感じないし、環境問題に入り込むビジネスは嫌悪感すら感じる。
思っている事を勝手に書きまくってしまい恐縮だが、カヤックの様な会社が私の進みたい分野でもたくさん出てきて欲しいと思う。
いや、事例が無ければ待たずに自分が作ればいい。こう考える事が大切だ。

追記 09/04/23
カヤックさんから逆トラバを頂きました。(http://www.kayac.com/kayac-way/vol038
こういう事が面白法人そのものです。笑
学生ながら影で応援しております。ありがとうございました。

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