トイレと喫煙所

トイレと喫煙所。
空間デザインに於いてテナントビルのコア部に集中するが故、放っておかれがち。
されども総合的な空間への印象を決定付ける重要な場である。

オフィスでこの二つまでしっかりとデザインされている会社は国内ではなかなか見当たらないものの、商業用途となるとホスピタリティという面で無視はできない。

場所は東京駅。
JRが全面禁煙となった今、喫煙者は煙を吐く場を求め彷徨っている。
駅周辺の商業ビルの中でも取り分け素敵な大丸東京店の喫煙所をちょっと紹介したい。

ここのトイレは前から有名だ。
トイレ探索日記というトイレばかりを紹介する素敵なブログでも、大丸の評価は高い。
私が頻繁に利用する8階紳士服売り場のトイレはこちらを。

ちなみに下は、誰かが投稿したyoutube。

調べてみると、デザイナーはやはりトイレデザインのエキスパートであった。
大丸ではトイレがある階すべてにストーリーが込められている。
よくありがちなどの階も同じ無地色で味気の無い不潔なトイレブースとは全く異なり、各売り場のイメージにリンクした細かい気配りが見てとれる。
8階がなぜ素晴らしいかというと、小便器に秘密がある。
もちろん洋式便器の方も、温座にプライバシー音付き+細部まで清掃は行き届き、高級ホテルのそれかそれ以上のレベルなのは確かではあるが、ここの小便器は壁に対し鋭角にレイアウトされ、隣同士が扉の無い個室空間になっているのだ。
デートスポットとしての居酒屋を見ると、「個室アリ/ナシ」が予約するかしないかの指標になるように、トイレを含めてこういった特定の対象と対峙するような場では、何かに囲まれているだけで心理的効果は絶大だ。
どこがどういう作りになっているかは、ここで文で書くよりもトイレ探索日記さんのレポートを見れば一目瞭然なので、今度買い物に行かれる方は家で用をたさずに我慢して大丸へ向かおう。(大丸関係者の方ごめんなさい)

そして喫煙所。
8階のトイレが特別なら喫煙所も特別だ。
まずはこの写真を見てほしい。
(タバコが生理的に嫌いな人はここからずっと煙ネタなのでご注意を)

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細長い縦長の空間に、手動スライドドアをくぐるとGestureTekかどこかのインタラクティブな映像が床に投影されている。
※撮影日はお休みであった

入り口の仕切りを越えると縦一直線に焼き物が並び、喫煙者は右か左かのどちらかに別れ、隣合う人会話しながら喫煙を楽しむ。喫煙ブースとしては決して景色は良くなく、そして狭い。だが、その狭さは感じさせず、そして静かでシンメトリーで暗い空間が入った瞬間「おっ」と思ってしまう記憶に残りやすい特徴的な喫煙所なのだ。

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いいな と思えるのは、ただパット見の美しさではない。
デザインの目的がしっかりと読み取れる。
上の写真左右は横から実際にモクモク中のmrkutaiから見た写真。
左右の壁にもたれかかって手を着いたり、携帯や財布を置くにちょうど良い奥行きの板が仕込まれ、意図的に低い位置にスポット照明を吊り下げ、160センチ以上あれば対面する人の顔が見えない心理的な配慮が感じられる。
そしてそのスポットライトは焼き物の椀のような灰皿の法線上に配され、タバコを置いたり煙が出ると(写真上)、そのスポットライトがあたる部分のみ煙が可視化され、吸ってる「行為」をしっかりとデザイン(写真下)しているようだ。
喫煙者でさえそんな好きじゃなく自分が吐いた煙を、照明によってデザインの一部に取り込む。ベタ褒めしてしまってるが実際に行ってみれば「よく出来てるなぁ」ときっと感心するに違いない。

3 Replies to “トイレと喫煙所”

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