山形浩生ファン

私は山形浩生氏の大ファン。

といっても彼の訳書を片っ端から読んでいるわけでは無く、元々は20歳の時に、オフィスである調べものをしていてそこでたまたま見つけたハッカーになろうの訳文が面白すぎて夢中になり、その後は(仕事を忘れて)クルーグマン論文の訳を読み漁ってその名を知った。

それから6年が経った大学院生活真っ只中の今、一週間前に情報系研究室の人が良かったらどうぞと偶然私に「訳者解説」を貸して下さり、数年ぶりに山形文を読んでみたらいつの間にか彼の訳本を6冊も購入してしまい、またどっぷりはまってしまったのが現在進行中の出来事である。

山形浩生氏とは、大手シンクタンクに身をおきながら翻訳者として活躍している人物だ。
有名大出身でコンサルをしながら海外出張の傍ら翻訳をする。と、経歴だけ読めば山形浩生氏とはさぞかし生活感が無い高級感の漂ったエリート街道まっしぐらな人の様に見える。
だが、彼のサイトや訳本の最初か最後についているやたら長い解説を読めば、へたな学者よりも人に物事を教える事が上手く、へたなお笑い芸人よりも面白く、彼のなんとも言えない魅力にはまってしまう事は間違いない。

手っ取り早くどんな人が知りたければ彼のリンクの話遺書、または「最近の噂」という日記コーナー?を読めばわかりやすい。

借りた「訳者解説」から、少し抜粋してみよう。

マナーについて

そしてそれを突っ込むと、人間として当然とか、ルールだから、とかマナーだから、と答えて何か言ったことになると思っているバカが多い。マナーはしょせんマナー。単なるお作法でしかない。必要なら破ったってかまわない。

~中略~

なぜそのマナーがあるのか、なぜそのルールがあるのか、そしてそれがホントに役にたっているのか?
それを考えずに規範をふりかざすだけのやつは例外なく抑圧の手先でしかない。

「数学で犯罪を解決する」訳者解説より、相関がある≠因果関係があるの説明

データだけ見て、山形が鼻くそをほじる回数とアフガニスタンの自爆テロ回数とに相関が見られたからといって、それに何の意味がある?

と、彼のサイトや解説に共通する独特の口語文は個性的で、自分が頭の中で「これおかしいんじゃね?」とか「正しい事は言ってるけど納得は出来ない」といった事に、それが何故おかしいのか、何故納得が出来ないかを一般人でも簡単に理解できる文で説明してくれる。

その最たる例が、原典を極度に重視する考えについての彼の意見だ。

物理学では、ニュートン力学を勉強するのに「プリンキピア」を読むやつはいない。

~中略~

もとの本には、著者の逡巡や思考のステップが残っていて、それ自体としてはおもしろくても結論においては本質的でない部分がかなり残っているし、またその結論もその後発展と整理を経て洗練されている。そこで歴史的興味以外の理由であえて出発点に戻ることの価値は小さいのだ。

「それがわからないなら原著から読め」とか「洋書は洋書のまま読まないとダメ」とか、原著主義者は身近な所にもアマゾンレビューにもたくさんいる。ある概念を生み出した張本人が書いてる本は当然本人が考え出した事だからその本を批判しようがない。でも生みの親だからという事と、学ぶに最適な本であるかは別だ。と。選手としては三流でも一流の指導が出来るコーチがいれば、フランス料理より上手いフランス料理を作る日本人がいる様に。

でもそれをうまく説明できない時、山形氏はさらっと皮肉を混ぜて人が理屈は正しくても納得できない事が何故なのかを説明してくれる。

今回買った本は以下の6冊。

現在は、論理で人をだます法は読み終わり、これは正直あまり面白くは無い。

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By momingo

レビュー対象商品: 論理で人をだます法 (単行本)

へ理屈を論理立てて
「へ理屈である」ことを
ひたすら立証する本。

なんか人の悪口ばかりを読んでいるというか
いかに人がバカであるかというのが
項目別に纏められてしまうと
なんか疲れてしまう。

得る物も特に無く
読み切るのが面倒くさかった。

上記の参考になった率0%のレビュワーと同じ感想である。「こういう事を言い始めたらそのうらに隠れた本意は○○ですよ」という事を最初から最後まで延々とパターン分けして続く。言っている事それぞれがつまらない訳では無いが、一言でいえば「疲れる」。これに限る。

アメリカ大都市の死と生については、建築学生の頃、故・黒川紀章訳のを読んだことがあり、故人で偉大な建築家に対して英語もロクに読めない自分が言うのもアレだが「これはヒドイ」訳本であった。
まだこの本は読み始めて無いが、山形浩生訳とは全く知らずに買ったセシルの「インフォーマル」の抜群の翻訳センスから、建築分野の洋書は全て山形氏にやってもらいたいと思っていたので改めて買い直したという訳だ。

その数学が戦略を決めると、数学で犯罪を解決するは、訳者解説が面白すぎて買った本。現在二冊を並行読みして両方とも半分くらい読了している段階。どちらも非常に面白い。「その数学が戦略を決める」で幾つか紹介されていた先進的な企業が、個人レベルでの客の次の購買行動を予測し、企業が先回りしている事例は思わず回りに言いたくなる内容だ。犯罪の方はアメリカの有名ドラマで使われている数学の詳細説明本。単に犯罪解決としてどういった理論が利用されているかを解説するだけでなく、その数学が正しいからといって人を裁けるかどうかは別という、ついつい見落としてしまいがちな事もちゃんと説明が付けられている。

服従の心理は、私が卒業設計で刑務所を選んだという事もあり、スタンフォード監獄実験や、ミルグラム実験に興味があったので購入。こちらはまだ読んで無い。戦争の経済学が読み終わり次第読む。

戦争の経済学は完全に自分の趣味。FPSにしても映画のジャンルにしても、「人間」を語る上で音楽とかデザインとか食生活とかそういった文化ネタなんかより、一番本質的な説明が出来そうな「戦争」への興味は、高校の頃から全く尽きない。戦争を斜めからガッツり捉えた本が読みたかったのでこれがピッタリだと思い購入。

自分の頭のよさを自慢気に、イヤミったらしく書いても、小飼弾氏に対しては「あぁまたか」と思ってしまうのに、山形氏は何故か好印象しか残らない。

まだ知らない人は死ぬまでに一度は彼のやっている事、訳本に触れるべきである。

2 Replies to “山形浩生ファン”

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